Lepido and Scales
Confusion
2012年 10月 22日 (月) | 編集

Charaxes fervens fervens

フェルベンスフタオ 名義タイプ亜種 Charaxes fervens fervens

スマトラ西方沖の島々のフタオでは、このフェルベンスの名義タイプ亜種がエンガノ島のベルナルダス C. bernardus enganicus と共に過去一番入荷しているものかもしれない。現地のニアス島では、オスは決して珍しいものではないようなのだが、採集人が行かないのか、このごろ新しいのはあんまり来ない。特に大珍品のメスが入ったという話は聞かず、このメスも20年も前の標本。白帯が驚くほど幅広くて素晴らしく、bernardus 種群、いわゆるアジアの茶色系フタオの中でも特に大きく堂々として格調高い。


Charaxes fervens fervens
Charaxes fervens fervens
(♂; Nias Is., N. Sumatra, Indonesia, 19. Feb. 1993)

メスを入手したのはもう7年も前だが、日本にある数少ない標本の殆どは、お釈迦様の手を持っている大コレクター達の標本箱の特等席に収まって門外不出なので、2000年代になってからフタオを始めた若輩者たる私の手に入ったのはまさに奇跡だった。とある標本商の未展翅在庫の底から2メスを発掘した時は、動悸は激しく、呼吸は乱れ、標本を掴む手も震えていた気がする。どうも最近また少し採れたようなので、もっと欲しい。もうこの世のフタオは全部私のものでも良いと思う。


Charaxes fervens fervens
Charaxes fervens fervens
(♀; Nias Is., N. Sumatra, Indonesia, 3. Mar. 1993)

ところでフェルベンスは、各地で普通のベルナルダスと別種にするか同種にするかが大変難しい。
見分けは付くが、ベルナルダスとは大変よく似ており、種を分ける区別点とされる形質も微妙な差であったり、数をみると実は変異があって使えなかったりする。
同島からはベルナルダスの亜種とされる C. b. mitschkei が記載されており、同所的に2つがいるのなら別種であろうとされているのだが、実はこれが曲者で、それっぽいものは知る限りここ20数年の間で塚田図鑑に図示されている2頭しか採れていない。さらに私がロンドン自然史博(BMNHまたはNHM)で mitschkei のタイプ標本を含めた5頭を見てきたところ、頭の痛いことに、先の2頭とはまた異なる雰囲気のものだった。こちらも同様に何十年も得られておらず、ニアス島のベルナルダスは雲か霞かというほど正体不明である。
とはいえ現実にあるこれらの標本を見ると、どちらも写真のフェルベンスとされるものとは色合い、大きさ、翅形などに差がみられるのだが、変異であると判断できないこともなく、長い間採れていないことからも別種かどうかは少々怪しいような気もする。けれども同種であるとも言い切れない。BMのものが解剖できればよかったのだが、まだ見ることが出来ていないのがもどかしい。いまのところ、どれが何なのかはサッパリ不明で頭が痛い。
まあ面白いので今後の課題であろう。

しかしニアス島といえば、おそらく世界に数個体しかなく(正式に記録されているのはホロタイプ1個体のみ)、もちろん日本にも無いボルネエンシスフタオの亜種 C. borneensis vandepolli をなんとかしてやっつけたい。
BMでホロタイプを見た時は死ぬかと思った。この日かかった呪いが解ける日は来るのだろうか。






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