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ねじればね
2012年 05月 03日 (木) | 編集

 ネジレバネという虫をご存じだろうか。

 撚翅目(ねんしもく)、ストレプシプテラ(Strepsiptera)、ネジレバネと聞いて、血が滾り、胸が熱くならない虫屋は、ある意味玄人ではないと言えよう。昆虫全般に知識のある人なら死ぬまでに一度は拝んでみたい昆虫だ(たぶん)。

 知らないと、「何このハエ」としか思われないかと思うが、前翅にしか翅がない(後翅は平均棍という突起に変化している)ハエ、アブ、カなどの双翅目と違って、このネジレバネは翅があるのが後翅だけであり、前翅が棍棒状に変化している変な虫である。

 全ての種がほかの昆虫に寄生し、大量の卵から孵った幼虫は、寄主の体内に侵入し、脱皮してウジ虫状の2齢幼虫になる。そしてメスはウジ状のまま成虫になり、宿主の体内に頭だけを外に出してそのまま留まるという生態で、これに寄生された昆虫は、行動が変化すると共に、一部のものは何故か寿命が延びるそうである。


カメムシネジレバネ科 Corioxenidae の一種 (オス)


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(福岡県 福岡市 中央区 南公園, 2005年 5月)


 翅も面白いけど、眼も凄い。いやらしいくらいデカイ個眼と、その複眼上でのまばらな配置がキモイ。そしてかっこいいアンテナと相まって。アメコミのモンスターあたりに出てきそうな悪役顔である(あくまでイメージ)。
複眼には毛が生えているのですね。

 オーダー(目)レベルで見れば、現生昆虫、全33目の中にあって、その奇妙奇天烈な形態、珍奇度、生態と、どれをとっても比肩し得る存在はなく、珍虫とか奇虫というカテゴライズをするならば、キング オブ 奇虫といっても過言ではないグループであろう。

 とはいえマイナーではあるので一般的には知っている人はごく僅かであろうし、その小ささ(数ミリ)と珍品度ゆえに、虫屋をやっていてもコレクションの対象には、ほとんどに於いてならない。しかしながら、それなりの虫屋ならばその存在に憧れる、永遠に輝けるスターなのである(言い過ぎ?)。
 なにせ、数ある昆虫関係の学会のなかでも、国際的に最上級の権威をもつThe Royal Entomological Society (英国のロンドン王立昆虫学会)のロゴマークになっている程である。因みに日本昆虫学会のロゴはトンボ。日本は秋津の国ですからね。

 これは同じ研究室の方の採集品で、ホストはおそらくツチカメムシであろうとのこと。予てより近所の公園で採れるという話は聞いていたのだけど、実際にネジレバネのオスの標本を見たのは初めて。これまでスズメバチに寄生する種のメスしか採ったことが無かったので(メスは蛆虫状)、かなり、いや凄く感動した。


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(福岡県 福岡市 中央区 南公園, 2005年 5月)


 まじまじと観察してもやっぱり変な虫である。好蟻・好白蟻性の昆虫なんかも非常に変わった形態をしていることが多いのだけど、オーダー(目)レベルでこれほどへんてこな虫というのは他には少ない。
先にも述べたように、特筆すべきは翅。前翅が変形して翅ではなくなった昆虫なんてのはネジレバネだけ(甲虫も一応そうだけど)。これはもう、奇虫の帝王と言っても過言ではないだろう(小さいけど)。

 5月に毎日藪をスウィーピングすれば、運が良ければ平均で3日に1頭くらいの割合で採れるらしい。かつて公園の近くにキャンパスがあったからこそ出来た採集だと思うが(今は移転して遠い)、その確率には正直驚いた。
大きさは大体4mmくらいなので、結構大きいのではなかろうか。

 種やグループに拘らずネジレバネのオスを確実に採りたいのなら、スズメバチの巣をひたすら破壊すれば採れる可能性は高いのだが、これには心の準備とそれなりの装備が必要なので、これまで面倒くさくてやったことは無かった。このツチカメに寄生する連中に至っては、そういう本丸を落とせば良い的な採り方はできないので、より珍品度は高いんじゃないかと思う。

 まあ、辺り一面にエマージェンストラップとかマレーゼトラップとか空中FITトラップでもかけまくれば採れるのかもしれないけれど、それはそれで面倒だし、トラップ高価だし、状態の良い標本が得られるかどうかも怪しい。それに、そこまでして欲しい訳でもないし…(笑)

 ちなみにツチカメに寄生する連中のメスは、ハチに付く奴らと違って蛆虫状ではなく、丸っこい袋状になるようで、これも面白いので一度は見てみたい……のだが、寄生されてるツチカメ採るのは大変そうだな…
オスは数時間の寿命らしいのも面白い。


この標本はどちらもユーパラール封入のプレパラート標本。



ネジレバネについて簡単に知りたい方はこちら↓
wikipedia
http://www2u.biglobe.ne.jp/~vespa/vespa0622.htm
http://www.nurs.or.jp/~str/strepsiptera.shtml


ここは科や属ごとの画や写真がみられます(ツリーの部分の学名をクリック)。
http://tolweb.org/Strepsiptera



Comment
この記事へのコメント
ネジレバネ♂って、微針で展翅できない…かなぁ。
出来るなら採ってみたい気はするんだが、プレパラート標本を作る気にはなれないんだよなぁ。
2012/ 05/ 03 (木) 20: 43: 54 | URL | 虫けら屋 # -[ 編集 ]
虫けら屋さん
できない事はないと思うけど、かなり大変そう…ユスリカとかで練習するしかないですな(笑)
2012/ 05/ 03 (木) 23: 11: 09 | URL | acraeoides # aCXfCcIc[ 編集 ]
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