Lepido and Scales
歴史と意識
2011年 05月 24日 (火) | 編集

BMNH

 欧州は自然を徹底的に破壊してきた人達ではあるけれど、我々日本民族が本草の分野としてしか自然を見られなかったのに対して、貴族趣味のヴンダーカンマーから始まる博物学的、自然史学的な観点は、純粋に自然の多様性を理解する素地を培い、更にはそれが一般国民にも文化や誇りとして浸透しています。
 英国の大英歴史博物館や自然史博物館はその知識の集積の最たるものの一つで、「世界一の泥棒の倉庫」とか言われてはいますが、当時はその収蔵物を収集し、分類研究し、保管し、公開するという意識が大本の国では成しえなかったばかりか、意識さえなかったことが殆どであったからして、その功績は偉大であると言わざるを得ないでしょう。これは建物の構えからして、その意識・誇りが伝わってくるというものです。

 わたしが訪れて最初に驚いたのは、この世界最大級の自然史博物館にあって入場料はタダ、一般展示の撮影もOKという所で、入館者がひっきりなしに絶えないということも瞠目に値しました。物凄く地域というか市民に愛されているという感じですね。

 これは収蔵物に対する一般人の意識からも明らかで、ちょっと前の事ですが、ある世界的なスズメガのコレクターが亡くなりました。その膨大な、科学的に大変価値のある標本のコレクションの行き先を決めるに当たって、評価額が数千万円という値が付いたのですが、世界中の幾つかの有力博物館が名乗りを挙げた訳です。大英自然史博物館は資金が足りなかったのですが、どうしても自国で収蔵したい。それで、一般に基金を募ったところ、資金が集まって無事に収蔵することが出来た。という出来事がありました。
 これは如何に欧州の人々が自然史(ナチュラルヒストリー)に対して文化的な意識を持っているかということの表れだと思います。日本じゃあ絶対に有り得ませんね。


BMNH

 さてさて、最初の写真はその入り口の構えですが、上の写真は入り口から入ってすぐの1階吹き抜けの大ホール。
やはりBMNH(大英自然史博物館の略)は恐竜! ということで、いきなり巨大なセイスモサウルスの全身骨格が鎮座しております。もう大迫力!


BMNH

2階回廊から見たところ。展示室はこの左右と奥に延々と伸びています。


BMNH

大ホールを正面2階から見たところ、手前にセイスモサウルスの尻尾が見えますね。この奥も中央吹き抜けになっていて、そこは喫茶コーナーになっておりました。壁の真ん中に立っているのは「ダイノサウリア」という言葉を創始した『恐竜学の父』ことリチャード・オーウェン。


BMNH

 この建物は細部までビクトリア調にこだわって作られていますが、それを指示したのもこのオーウェンで、この博物館創設の立役者でもあるそうです。現在は『進化論の父』ことチャールズ・ダーウィンの生誕200年を記念してこの場所は彼の像に置き換わったそうですが、オーウェンは何処に移動したんでしょうかね。


BMNH

で、ここがさっき書いた喫茶コーナー。以前はここにダーウィンが鎮座しておりました。右がダーウィン、左はチャールズ・ライエル。

野外に出て採集するのも良いですが、こういう所も訪れると何だか自然観が変わります。
是非もう一度行きたいもんです。



撮影:2008年 ロンドン自然史博物館 Natural History Museum, London (BMNH)




Comment
この記事へのコメント
うわーこれは凄いですね・・・。
流石acraeoidesさん、熱帯だけじゃないですね。

イギリス人もたまに鼻が高かったりちょっと方向がズレてたりしますが確かに自然史とか自然保護に対する意識の高さは並みじゃないですね。少なくとも保護の分野では僕の経験ではイギリス(というよりイングランド)人が一番進んでいると感じました。あとやたらバードウォッチャーが多い気が・・・。

セイスモ(ディプロ)は竜脚類ではたぶん一番好きです。あとそこなら始祖鳥の標本も生で見たいです。
2011/ 05/ 26 (木) 17: 26: 20 | URL | Nyandful # -[ 編集 ]
Nyandfulさん
返信遅くなって済みません。
やはり欧州(特にイギリスとドイツ)は文化として自然史が根付いていると思います。そうでない人もいますけど(笑)

僕も竜脚ではセイスモが一番好きです。始祖鳥は生で見たいですね~。
でもロンドンのはホロタイプ標本ですが頭が無いので、やっぱりフンボルトミュージアムの有名な奴も見たいです。
2011/ 06/ 05 (日) 00: 01: 41 | URL | acraeoides # aCXfCcIc[ 編集 ]
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