Lepido and Scales
Encyocratella olivacea
2017年 03月 27日 (月) | 編集



タンザニアブラックアンドオリーブバブーン Encyocratella olivacea

その名の通り、タンザニアに分布している1属1種の樹上性種。情緒の欠片もないコモンネームで呼ばれていますが、オリーブと言うよりはゴールデンな色合いで、その山吹色と漆黒のコントラストが中々に派手な印象を与える種です。色の派手さもさることながら、腹部が虎柄で脚が長いため、東南アジアの樹上性アースタイガーを彷彿とさせて非常に格好良いと思います。

これまで本属は、Stromatopelma 属(フェザーレッグバブーンS. calceatum 等が含まれる) とHeteroscodra 属(トーゴスターバーストH. maculata 等が含まれる) に近縁とされており、これら3属で亜科Stromatopelminaeとされておりました。これは主に雄の第1脚脛節の突起の形態等によって定義されていますが、雄の触肢先端の生殖器は他の2属とは異なっているようで、亜科内での分類は(Encyocratella (Stromatopelma + Heteroscodra))というような形にされております (Gallon, 2005)。
私はクモ屋ではなく、単なる一介のタランチュラ好きですが、外観や生態も一見して似ているので、この分類に違和感を感じることはありませんでした。

しかしながら、つい最近の分類によると、StromatopelmaHeteroscodra はピンクトゥーAvicularia など新世界の樹上性種が多く含まれる亜科Aviculariinae に含まれ、Encyocratella は高次分類における所属が不明 (incertae sedis)とされているようです (Fukushima and Bertani, 2017)。上述のGallon (2005) においてもEncyocratella はStromatopelminaeの中では他2属とは異なるとされていたので、Stromatopelminaeが分解したのは不思議ではないのですが、アフリカのグループは、同じ旧世界であるアジア・オセアニアのグループと近縁だというイメージを持っていたため (少なくともチョウではそう)、まさかStromatopelmaHeteroscodra が、新世界のAviculariinaeに所属するというのは非常に意外でした。同じ樹上性種であることと、大陸移動を考えると決して不思議ではないのですが、それでも驚きました。

因みに話が脱線しますが、Fukushima and Bertani (2017)は、Avicularia 属の分類学的再検討が主目的なのですが、読んでいて一番興味深かったのが、亜科レベルの高次分類の部分でした。

さて、ではEncyocratellaは一体どこに所属するのか、というのが興味が持たれるところですが、上の2つの論文は形態形質からの分類および系統推定であるため、今後、分子による研究が行われれば、これまでとはまた異なる結果や新たなことが分かるのかもしれません。


引用文献
・Gallon, R. C. (2005). Encyocratella olivacea Strand, 1907, a senior synonym of Xenodendrophila gabrieli Gallon, 2003 (Araneae: Theraphosidae: Stromatopelminae) with a description of the male. Zootaxa 1003: 45–56.
・Fukushima, C. S. and Bertani, R. (2017). Taxonomic revision and cladistic analysis of Avicularia Lamarck, 1818 (Araneae, Theraphosidae, Aviculariinae) with description of three new aviculariine genera. ZooKeys 659: 1–185.



……そろそろチョウも出さないとなぁ。


copyright (C) Lepido and Scales all rights reserved.
designed by polepole...