Lepido and Scales
邪悪形態
2014年 03月 15日 (土) | 編集

もう7年も前になるが、ベトナム中部のBach Ma 国立公園で4月の中旬からラストまでの半月間、蝶の採集調査を行った。 蝶の採集がメインだからして、明るい内はその他の虫は真面目に採っていられなかったのだが、幾つか目に付いたものは採集した。

その中でも、飛んでいる時から凄い翅音とオオスズメバチの女王を彷彿とさせるかの様な存在感で採らずにおられなかったのがこのムシヒキアブ。



Asilidae sp. (Bach Ma, C. Vietnam)

大体4cmくらい。琉球列島に棲む日本最大種メスアカオオムシヒキMicrostylum dimorphumとほぼ同じサイズだが、毛深さも考慮すると体の幅は2倍近い。脳内で大きさ補正がかかっていたようで、久し振りにタトウを覗いて「あれ、こんなもん?」と思ったが、飛んでいた時の巨大さと、邪悪な格好良さには痺れた。
高い所を飛んでいたので、長竿を目一杯伸ばして何とか網に入れ、手に取った時は、基本的にディプテラがあまり好きではない私も興奮してしまった。

酢エチで毛が寝たら嫌なので、三角紙でキャンディ包みにして毒瓶に投入。暫らく蝶のことは忘れることにし、死ぬのを待って直ちに外に出した。おかげで割と見られる状態の標本になったと思う。マウントしてないけど。

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もうちょっと横から見た図

同じ場所で立っていると何頭も飛んでいるのが見えたのだが、さすがに蝶を採らねばならない為、これ一頭で止めしまった。もっと採っておけばよかった。これは雄で、おそらく雌はもっと大きいと思う。
こういう生物は現地での生きた姿を格好良く見せられたらと後になって思うのだが、その時はそんな装備も時間も余裕も気持ちも無かった。あと腕も無い。

マダガスカルには世界最大と言われ全長6~7cmに達するMicrostylum magnum、豪州には最重量とされるPhellus olgaeという化け物がいる。M. magnumは先輩が採集してきた個体をタトウの中に見たことがある。フォルムは先ほど書いた同属で日本最大種のメスアカオオムシヒキと変わらないが、6cmあり巨大であった。ちなみにタトウにはデータと共に「出たな妖怪!」と書かれていた。
P. olgaeはクマバチ擬態と言われるムシヒキの中でも圧倒的な存在感で、あれは一度現物を見てみたい。あわよくば欲しい…が、メスアカオオムシヒキさえ採ったことがない私にはおこがましい願いであるかもしれない。


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ゲニタリアが凶悪だ。一体どんな交尾をするのだろうか?





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