Lepido and Scales
マルスの真価
2013年 03月 02日 (土) | 編集


(Palolo, Sulawesi, Indonesia)

マルスフタオ Charaxes mars

もう随分と前になるが、当ブログを始めた頃に一度出したマルスフタオ。
何度も書いてしまうが、茶色と黒の2色という、蝶においては最悪とも言えるカラーリングがほとんどの種を占めるアジア~オセアニアに分布するこのグループ(bernardus 種群)の中においては奇跡のような色彩を持っている。

本種はインドネシアはスラウェシ島固有の有名種で、オスの翅表がメタリックに、しかも青く輝くのはこのグループではこの種だけ。裏面の光沢のある備長炭のような地色もかっこいい。トラップが普及した現在はそれほどでもないのだが、昔は大珍品で、特にメスは大変なものだったようである。雌雄で斑紋がまったく異なるのも素晴らしい。こういうのはコレクション欲を大いに刺激するのだ。

記載は1800年代とそこそこ古いのだが、30年ほど前までは日本では殆ど知られておらず、標本が入るようになった時には標本商も含めて多くの人がぶったまげたそうである。
アフリカなら兎も角、アジアに青く輝く Charaxes がいるなんて普通思いもしないであろうことは想像に難くなく、既に美麗種として名を馳せて久しい時代にフタオを始めた私のような若造が見ても本種の存在は特別に映ることからも、恐らく当時の衝撃はかなりのものだったと思う。

そんなマルスだが、図鑑に見られるのは当たり前だが上掲の写真のように真上から撮影したものである。自宅の標本箱の中にあっても真上から見ることが殆どではないだろうか。


だがしかし、マルスの真価は斜め後ろから見た時に最大に発揮されるのだ。


SBSH1157-.jpg

実は後翅にも青い幻光が現れるのである。しかもオレンジ斑の上は色が混ざるからか、ピンク~紫のグラデーションになるという美しさ。
まるで南米のアグリアス(ミイロタテハ)を彷彿とさせるこの美しさは写真では完全には表現し難い。多少の個体差はあるが、いちど現物を手にして見てみることをお勧めしたい。





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