Lepido and Scales
遥けき島のバーンズィ
2012年 06月 28日 (木) | 編集

最近、蝶で更新する率が高いなぁ…などと、心の隅に感じて…いや確信犯的に気付いている今日この頃なのだけど、「そうだ爬虫類を撮ろう!」と思い立っても、その時には餌をやった直後だったりして中々撮れない。
そういう訳で今回も必然的に、仕方なく、全く遺憾ながらも蝶の標本で更新する次第。しかしこういう言い訳も、一体もう何度したのだろうか…。などと遠くを眺めつつ気付かない振りをして、またもやアフリカのフタオをば。


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バーンズフタオ Charaxes barnsi Joicey & Talbot, 1927


サントメ・プリンシペ固有のフタオチョウもこれで最後。そのラストを飾るのはプリンシペ島にのみ生息するバーンズィだ。

 我らがキャラクセスの中でも青いフタオといえば、やはりその筆頭に挙がるのがアフリカのカスリフタオ種群 tiridates group だろうか。茶色ばっかりで、はっきり言って地味な東南アジアのグループばかりに見慣れた我々日本人から見たら、一目で心奪われる色彩だろう。そもそも生き物屋は青い色に弱い。それがメタリックなら尚更である。

 とはいえ、もともとフタオの本場はアフリカで、その多様性をして豊かなな色彩を持っている。種群の多様性が低く地味なのばっかりな東南アジアの方が、どちらかと言えば出先機関のようなものなのだ。かくしてアフリカに近いヨーロッパの人々にはフタオ人口が多いのだが、東南アジアに近い我々日本人にはそれほど多くない。こちらにはクワガタ屋が多く、向こうには少ないのと同じである。


Charaxes barnsi
Charaxes barnsi
(♂; Vepho, near Terreino, Principe Is., São Tomé & Principe, 1, Ⅲ. 2005)

 さてこのバーンズィ、青くて綺麗なカスリフタオ種群の中でもオスの翅の全面に広がる地色の青は明るく、その青も他種にはない燻し銀、更には青い斑紋列も巨大で、一種異様な格調を醸している。
おそらく本種に近縁であろうカスリフタオ tiridates や、ヌメネスカスリフタオ numenes などの地色が宇宙のような暗い群青で、青の斑紋も同様に暗く小さいのに対して、本種のこれは物凄く変わっている。翅の形もシャープでかっこいい。
 オス・メス共に裏の色味の緑が強く、スポットが鮮やかなオレンジになるのも比類なき特徴である。その上、黒い斑紋を縁どる水色の鱗粉は明るく巨大に拡がっていて、ギラギラしている。これは反則だ。

 青が綺麗な種なら、smaragdalis だとか、phenix だとか、ameliae だとか、bohemani だとか他に沢山いて、一般的にはこれらの方が人気なのだが(手に入れ易いし)、やはり本種の持っている格調高く、妖しいオーラの前には霞んでしまう。もちろんどの図鑑でも、同じくサントメ・プリンシペの montieri と共に別格扱いである。


Charaxes barnsi
Charaxes barnsi
(♀; Fria, near Riberia, Principe Is., São Tomé & Principe, Ⅴ. 2007)

 そしてメス。さっき挙げたスマラグダリスの仲間だとメスも青いのだけど、本種に近縁のカスリフタオ tiridates の仲間だとメスは地味な茶色(例外的に mixtus は青く、 murphyi にも青型がいる)。しかし本種は全面紫なのだ。個体差があって、強くギラギラしているもの(凄く欲しい)から、この個体のように暗めのものまでいるが、こんなメスは他にはいない。
私は本種のメスを図鑑で初めて見た瞬間に電撃に撃たれ、それ以来、事ある毎にバーンズィ…バーンズィ…と呟きを漏らす羽目に陥った。

 因みに本種のもともとの記載では"C. barnesi "として書かれているのだが、実はこの名前に献名されたバーンズさんのスペルが"barns"だったことが判明し、現在はスペルミスということで"C. barnsi "に訂正されている。いきなり原記載からスペルミスといのはそうそうないので、ちょっと面白い。そういう私も最初は"barnesi"として覚えていたので、先のうわ言では長らくバルネシィ…バルネシィ…と呟いていたのであった。

嗚呼、マーフィー C. murphyi が欲しい…。残りの種でこれが手に入ったら完璧なのに…




Links: Africains Charaxes HP Many thanks!!




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