Lepido and Scales
手抜き その1
2014年 01月 04日 (土) | 編集

最近、気晴らしで更新することが多い当ブログですが、そろそろ写真のストックも尽きて参りまして、新たに撮影する時間もありません。そういう訳で、以前携帯電話のカメラで適当に撮影したマルバネタテハの写真で糊口をしのごうと思います。

マルバネタテハEuxanthe は、アフリカとマダガスカルに分布する一群でして、それぞれの種が有毒とされるマダラチョウ亜科の幾つかの種に擬態しているとされ、いつもアップしているフタオチョウと同じフタオチョウ亜科Charaxinaeに属しています。一番近縁なのはフタオチョウ属で、交尾器の形態はほとんど変わらないのですが、頭部のパルピ(下唇鬚)と腹部の長さ、翅形、翅脈、蛹、幼虫の形態が少し異なります。最近はDNAでの系統解析の結果から、フタオチョウCharaxes と同属にした方が良いという説も出ていますが、形態屋としてはもう少し検討を重ねたいところです。

以前に出したE. wakefieldi を含めて全部で6種と、アフリカ圏で150種以上を数えるフタオチョウ属Charaxes と比べると大変小さい一群ですが、取り敢えず全種を集めることが出来ても、亜種まで揃えるとなると至難の業で、なかなか奥が深いです。そんな訳で、今回はその中から2種を紹介しましょう。

ちなみにマルバネタテハは翅脈相の違いから大きく2つのグループに分けられておりまして、Euxantheを従来通り属として認めた場合、この2つは亜属としてEuxanthe亜属とHypomelaena亜属とするのが一般的です。下の学名の括弧の部分が亜属を表わしています。


SBSH1115-.jpg
(Madagascar)

マダガスカルマルバネタテハ Euxanthe (Euxanthe) madagascariensis

マダガスカル固有種にして唯一のマルバネタテハ。
オスの翅の寸詰まり方が凄い。そしてメスの翅形は他種に比べて角ばっていて格好良いです。
ちなみに真ん中のオスはフラッシュ焚いたので白くなっていますが、普段は下の個体のような水色。メスは普段から真っ白です。

ところでこいつ、擬態のモデルが思いつきません。マダガスカルにいる似たマダラはAmauris nossima だけなのですが、メスはまだしもオスが全然似ていない…。そういえばメスはハガタムラサキHypolimnas dexithea にも似ているような気もしますが、Hypolimnas もよく擬態をやらかすので、ハガタもマルバネとモデルが同じなのでしょうか。それとも単に収斂しているだけなのか…。




(R. D. C. & R. C. A)

コモンマルバネタテハ Euxanthe (Euxanthe) eurinome ansellica

コンゴ民主共和国(旧ザイール)と中央アフリカ共和国産のコモンマルバネタテハ。
謙遜せずとも本属中もっとも地味で、次回予定のウスコモンことE. crossley と共に最普通種ですが、亜種を揃えるとなると一筋縄ではいきません。尤もそれぞれの亜種の見た目に大きな違いがないので、手に入らなくともそんなに不幸を感じないかもしれません。私は感じますが(笑)。

ここに出した亜種ansellica は、ガーナや象牙海岸あたりにいる名義タイプ亜種より入手し易いです。写真の種名ラベルは間違いですけど、直すの面倒なんでそのまま(苦笑)。
アフリカコモンマダラTirumala petiverana に擬態しているのだと思います。

ちなみに「コモン」は「common=普通」ではなくて「小紋」です。普通種なのでcommonでもあながち間違いではないのですが(笑)





Euxanthe wakefieldi
2013年 10月 31日 (木) | 編集


(♂, Nguru Tarana, Tanzania)

ウェイクフィールドマルバネタテハ Euxanthe wakefieldi

好きな蝶です。





浅葱色の偏光
2010年 09月 12日 (日) | 編集

Euxanthe wakefieldi

ウェイクフィールドマルバネタテハ
(♂; Nguru Tarana, TANZANIA, Sep. 2007)

ウェイクフィールドマルバネタテハ Euxanthe (Euxanthe) wakefieldi

 アフリカに御座しましますマルバネタテハ属 Euxanthe の6種の中では多分、一番美しいのがこのウェイクフィールディ。翅表の濃い浅葱色と漆黒とのコントラストが大変爽やかでございます。

 似た感じのてふてふでは、東南アジアでしばしば見かけるコモンマダラ Tirumala が典雅な浅葱色で、飛んでいるのを見かけると思わずハッとして、ガリガリ君ソーダ味を食べたく…もとい暑さの中に刹那の涼を感じるのだが、こやつの飛翔にもその名のように目の醒める思いをするのだろうか。やはり浅葱色という感性には、真夏の和の趣を感じる。胸部と肢の白い水玉模様もそれを一層引き立てていると思う。

 さてこのマルバネタテハ、一見マダラチョウ亜科かと思いきや、どうやらマダラの中のコモンマダラ Tirumala やシロモンマダラ Amauris 、カバマダラ Danaus なんかに擬態しているグループで、何とこれでもフタオチョウ亜科。実は CharaxesPolyura に一番近いグループと云うから驚きではありませんか。とは言え、交尾器や幼虫形態を見ると、紛う方なきフタオ族なので、擬態の妙とはこの事か。フタオの眷属のくせして腹部の色とひょろ長さまでマダラそっくりとは全くもって驚嘆の極み。


ウェイクフィールドマルバネタテハ

 さらに小憎い事にこの浅葱色、角度によって色が変わる構造色で、横から見ると向こう側の翅が真っ白に。
これはマダラには無い技で、実は長い間気付かなかったのだが、このより涼感を醸し出す演出には打ちのめされた。正直これは反則じゃないか思う。


Euxanthe wakefieldi

ウェイクフィールドマルバネタテハ
(♀; Mt.Hanang, Singida, TANZANIA, Mar. 2008)

ちなみにメスの方は薄っすらと水色がかっているけれど、基本的に白い。






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