Lepido and Scales
アンドラノドルス
2013年 05月 19日 (日) | 編集

C. andranodorus
(Beparasy, Madagascar)

ウラギンオオフタオ 名義タイプ亜種 Charaxes andranodorus andranodorus

マダガスカル固有種のアンドラノドルスフタオ。
その聞くからに重厚な種小名の語感に恥じず、西アフリカのフルニエフタオと共にエチオピア区のフタオでは最大級の大きさを誇ります。
この標本の状態でオスの開長75mm、メスは95mmですが、Paulian(1956)は『マダガスカルの動物相』の第2巻(Faune de Madagascar Ⅱ)』の中で、開長95mmのオスと118mmのメスを記録しています。オスだけなら確実に世界最大のフタオでしょう。
尾突も凄く、もはや「フタオ=双尾」でもない。

ただし大きいのはマダガスカル東部にいるこの名義タイプ亜種だけで、西部のssp. andrefana はこれの半分くらいしかありません。斑紋構成は全く同じだけど色ももっと明るいし、ほんとに同種なんだろうか。
写真では上手く表現できませんでしたが、裏の白色部は銀白色で、白粉を厚塗りしたような質感。そのため、ウラギンオオフタオという和名で呼ばれることも多いですが、私はやっぱりアンドラノドルスと呼びたい。

かなりの有名種で人気がありますが、そこそこ出物を見る機会はあって、同じくマダガスカル固有でこの種に最も近縁だけど全然有名じゃないフラオルテスフタオC. phraortes の方が遥かに少なく入手は手強い。ナイジェリア固有のレゲリィと共にいつかこの手にする日は来るのだろうか。





地上の双星
2012年 11月 24日 (土) | 編集

Charaxes bipunctatus ugandensis

ビプンクタートゥスカスリフタオ Charaxes bipunctatus ugandensis

久し振りに色のついたフタオ。
茶色と黒の種ばっかり眺めていると、たまにこういうのを見た時にすごく新鮮で得した気分になる。ような気がする。普通種だけど。
まあ、青いと言っても限りなく暗い色なのだけど、こうしてストロボを焚いて撮影すると、構造色が強く出るので肉眼で見るよりも2割増は輝いて見える。とはいえ見てほしい。この地上から見上げた宇宙の様な澄んだ深い群青色は、派手さはないけど日本人が好みそうな落ち着いた色使いではなかろうか。この仲間の和名はカスリフタオというのだが、カスリは“絣”で、この名を考えた先人は、やはり和の趣をこの翅に見ていたのではないかと思う。アフリカの蝶だけど。


Charaxes bipunctatus ugandensis
Charaxes bipunctatus ugandensis
(♂, Budongo Forest, Uganda, 12. Sep. 1999)

ちなみに種小名を直訳すると“二星”で、恐らく前翅表の亜翅端部にある白い斑紋が2つ目立つことから付けられた名だと思うのだけど、この斑紋は近縁の種のほとんどにあるので微妙だなぁ…と思わないこともない。まあ、他の種より目立つのは事実なので解らんこともないし、群青の宵空にふたつ星が仄かに輝いていることを想像すれば、なんとも美しい気持ちになるので素敵な名前だと思う。

メスは途中でメンドクサくなって撮影してないけれども、オスに反して地味。






遥けき島のバーンズィ
2012年 06月 28日 (木) | 編集

最近、蝶で更新する率が高いなぁ…などと、心の隅に感じて…いや確信犯的に気付いている今日この頃なのだけど、「そうだ爬虫類を撮ろう!」と思い立っても、その時には餌をやった直後だったりして中々撮れない。
そういう訳で今回も必然的に、仕方なく、全く遺憾ながらも蝶の標本で更新する次第。しかしこういう言い訳も、一体もう何度したのだろうか…。などと遠くを眺めつつ気付かない振りをして、またもやアフリカのフタオをば。


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バーンズフタオ Charaxes barnsi Joicey & Talbot, 1927


サントメ・プリンシペ固有のフタオチョウもこれで最後。そのラストを飾るのはプリンシペ島にのみ生息するバーンズィだ。

 我らがキャラクセスの中でも青いフタオといえば、やはりその筆頭に挙がるのがアフリカのカスリフタオ種群 tiridates group だろうか。茶色ばっかりで、はっきり言って地味な東南アジアのグループばかりに見慣れた我々日本人から見たら、一目で心奪われる色彩だろう。そもそも生き物屋は青い色に弱い。それがメタリックなら尚更である。

 とはいえ、もともとフタオの本場はアフリカで、その多様性をして豊かなな色彩を持っている。種群の多様性が低く地味なのばっかりな東南アジアの方が、どちらかと言えば出先機関のようなものなのだ。かくしてアフリカに近いヨーロッパの人々にはフタオ人口が多いのだが、東南アジアに近い我々日本人にはそれほど多くない。こちらにはクワガタ屋が多く、向こうには少ないのと同じである。


Charaxes barnsi
Charaxes barnsi
(♂; Vepho, near Terreino, Principe Is., São Tomé & Principe, 1, Ⅲ. 2005)

 さてこのバーンズィ、青くて綺麗なカスリフタオ種群の中でもオスの翅の全面に広がる地色の青は明るく、その青も他種にはない燻し銀、更には青い斑紋列も巨大で、一種異様な格調を醸している。
おそらく本種に近縁であろうカスリフタオ tiridates や、ヌメネスカスリフタオ numenes などの地色が宇宙のような暗い群青で、青の斑紋も同様に暗く小さいのに対して、本種のこれは物凄く変わっている。翅の形もシャープでかっこいい。
 オス・メス共に裏の色味の緑が強く、スポットが鮮やかなオレンジになるのも比類なき特徴である。その上、黒い斑紋を縁どる水色の鱗粉は明るく巨大に拡がっていて、ギラギラしている。これは反則だ。

 青が綺麗な種なら、smaragdalis だとか、phenix だとか、ameliae だとか、bohemani だとか他に沢山いて、一般的にはこれらの方が人気なのだが(手に入れ易いし)、やはり本種の持っている格調高く、妖しいオーラの前には霞んでしまう。もちろんどの図鑑でも、同じくサントメ・プリンシペの montieri と共に別格扱いである。


Charaxes barnsi
Charaxes barnsi
(♀; Fria, near Riberia, Principe Is., São Tomé & Principe, Ⅴ. 2007)

 そしてメス。さっき挙げたスマラグダリスの仲間だとメスも青いのだけど、本種に近縁のカスリフタオ tiridates の仲間だとメスは地味な茶色(例外的に mixtus は青く、 murphyi にも青型がいる)。しかし本種は全面紫なのだ。個体差があって、強くギラギラしているもの(凄く欲しい)から、この個体のように暗めのものまでいるが、こんなメスは他にはいない。
私は本種のメスを図鑑で初めて見た瞬間に電撃に撃たれ、それ以来、事ある毎にバーンズィ…バーンズィ…と呟きを漏らす羽目に陥った。

 因みに本種のもともとの記載では"C. barnesi "として書かれているのだが、実はこの名前に献名されたバーンズさんのスペルが"barns"だったことが判明し、現在はスペルミスということで"C. barnsi "に訂正されている。いきなり原記載からスペルミスといのはそうそうないので、ちょっと面白い。そういう私も最初は"barnesi"として覚えていたので、先のうわ言では長らくバルネシィ…バルネシィ…と呟いていたのであった。

嗚呼、マーフィー C. murphyi が欲しい…。残りの種でこれが手に入ったら完璧なのに…




Links: Africains Charaxes HP Many thanks!!




アクミナートゥスコノハフタオ
2012年 06月 19日 (火) | 編集

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(♂; Pugu Forest, Dar es Salaam, E. TANZANIA, May. 1995)

アクミナートゥスコノハフタオ Charaxes acuminatus
ssp. usambarensis or teitensis ?


なんとなくシロハラミミズトカゲが欲しいです。
あの愉快な姿と愉快な動きに癒されたい。
あのまぐまぐと餌を喰う場面を見て、うひゃひゃと笑いたい。

そんな癒しの時間が欲しい今日この頃の私ですが、このコノハフタオの仲間も今のところそんなに持っていないので、色々と欲しいです。vertramisaperanusdefulvatanicatibalfouri が凄く欲しい。うん、これ殆ど全部ですね。
そういう癒しも同様に欲しいです。

因みにこのアクミナートゥスと、別種扱いされることの多いオブドエンシス obudoensis の違いが勉強不足の私にはさっぱり判りません。一緒に見えるよなぁ…





幽玄なるレモシィ
2012年 06月 08日 (金) | 編集

Charaxes lemosi

レモシィフタオ Charaxes lemosi


当ブログにて幾度か登場している西アフリカの小さな島国、サントメ-プリンシペ共和国。
そんな離れ小島に固有に生息するフタオチョウも、今回の更新であと1種の紹介を残すのみとなった。
もう何年も紹介しようしようと思っていながら、ちっともやらなかったのには……特に理由はない。
けっして勿体ぶっていた訳でもなく、ことブログになんぞに関しては全てがその時の気分とタイミングなのである。


Charaxes lemosi
Charaxes lemosi
(♂; Fria, Principe I., São Tomé and Principe, Ⅳ. 2007)


ところで虫屋が集まって虫談義をすると、あの虫は上品だとか下品だとかいう話で盛り上がる時がよくある。「あれは凄く綺麗だしかっこいいけど下品だ」とか。結論から先に言ってしまうと、このレモシィは大変上品な蝶であるということをここで断言したい(私の感覚だけど)。

本種レモシィは、主にサントメ島とプリンシペ島の2島からなるこの国の、プリンシペ島の固有種で、キオビフタオ種群lucretius groupの一員。外観的にもっとも近縁と思われるのは、大陸の普通種キオビフタオこと C. lucretius で、一見良く似ているのだが、翅形や、翅表の帯の出方が良く見れば全く異なる。さらに裏の地色はキオビフタオにはない、緑がかった、しっとりとした黄土色で、変哲のない赤茶色であるキオビフタオに比べると、その艶やかさ上品さは比ぶるべくもない。

アフリカのフタオには、フルニエだとか、ノビリスだとか、リディアエだとか、モンティエリィだとかの、誰が見ても珍品美麗で格調高いスーパースターが目立つ。しかし同じく高貴な美種とはいえども、本種はまあ、どう見ても地味。なので、どうしても陰に隠れたマニアックな珍種としての印象が拭えない。正直、私も初めてアフリカのフタオ図鑑でその写真を見た時は、かなり暗い写りだったこともあって、それほど気に留めていなかった。



Charaxes lemosi
Charaxes lemosi
(♀; Fria, Principe I., São Tomé and Principe, Ⅳ. 2007)


とはいえ、綺麗な図版の中にして、そういう写りの悪い写真というのは、往々にして入手困難な珍品である場合が多く、さらにはかなり変わった種であることが大半で、やはり本種もその図鑑の中で何やら怪しいオーラを放ってはいた。けれども「なんか地味だな」というのが最初に抱いた印象だった。
だがしかし、後に紆余曲折の末に実際この手に取ってみたところ……どうであろうか、図鑑では暗いこげ茶と黒っぽい灰色にしか見えなかった翅の裏面は、まさに幽玄ともいえる美しさ。

そして翅を開いてさらに驚いた。この仲間にはオスの前翅が、光を当てて角度を変えて見ると青紫の幻光を発する種がいくつかいるが、本種はキオビフタオよりもその幻光が強く、おまけにオレンジの帯までピンクに輝くのである。
フタオチョウでここまで妖しく美しい幻光を放つ種というのは、せいぜい同じくアフリカのニケテス C. nichetes か、東南アジアのマルス C. mars くらい(どっちも珍しくはない)で、その中でも本種は間違いなく最美であろうかと思う。


Charaxes lemosi


サントメ-プリンシペという所は、こと蝶においては多くの固有のものが高貴かつ異様な雰囲気になるのだが、本種もやはりその例に漏れない、すんばらしい種であると思う。美しいけれども、けっして下品ではないところが素敵である。


随分入手し易くなったのは嬉しい限りですね。







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