Lepido and Scales
スポンサーサイト
--年 --月 --日 (--) | 編集
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
南太平洋の魅惑
2010年 06月 15日 (火) | 編集

そんな訳で先日に続いて、今日はニューカレドニアに行きたい、というお話です。


ガンマフタオ Polyura gamma

Polyura gamma

Polyura gamma
(♂, Mt. Koghi, alt.500m, New Caledonia, 27. Dec. 1995)

 熱帯アジア~オセアニアに分布するフタオの中では最も小さな種で、分かりやすく言うとモンシロチョウより少し大きい位のサイズ。大きさもですが、地色が黒いことと言い、裏面の斑紋があんまりモディファイされてないことと言い、更にはアンテナ先端の棍棒が非常に太くて綺麗にオレンジと黒に色分けされることと言い、ヒメフタオ属 Polyura としてはかなり異質な印象を与える種です。


Polyura gamma

 Smiles (1982)を見ると本種はポリウラの中では最初に分岐した、最も祖先的な種とされてますが、確かに裏面の条斑があまり消えたり融合したりしていないところを見ると、祖先的な形質状態を多く持っているのは事実のように思いますね。
 ニューカレドニアにはもう一種、クリタルクスフタオ P. clitarchus という固有種がおりますが、こちらはウォーレシア~オセアニアに広くいるフィルルス種群 pyrrhus groupという白い連中の仲間なので、ガンマとは系統がかなり異なっていて、おそらく後になってニューギニアかソロモン辺りから侵入したんじゃないかなぁ、と考えたりしてます。


Polyura gamma

 まあ難しいことはさて置いて、その大きさ、色、変な形や斑紋と、見れば見るほど魅力的なフタオじゃあないですか。マイナーな種ではありますが、何よりもニューカレドニアの固有種!というのが途轍もなく私の心を直撃します。だってニューカレドニアですよ。日本から見たら地球の果ての熱帯の楽園ですよ。近くにあのエロマンガ島まであるのですよ。これが憧れずにいられましょうや。


Polyura gamma

 この派手さの欠片もないところが素晴らしい! 何と言うか、私の好きなちょうちょはあんまり派手ではなくて異質な雰囲気、形を持っているものが多いんですが、このガンマフタオは正にそれだと言えましょう。

 ニューカレドニアは、フタオチョウに限らず多くの動物が固有種として知られていて、まあ島なので種の多様性はそれほど高くはないのですが、爬虫類などでは属単位で固有の系統が多く、間違いなく生き物好きには堪らない約束の地でございましょう。調べると昨今は成田からピューと一直線に飛んで行けるそうで、これはあなた、もう行くしかないじゃないですか。なので是非行きたい、凄く行きたい。


Polyura gamma

Polyura gamma
(♀, Mt. Koghi, alt.500m, New Caledonia, 27. Dec. 1995)

 メスは表面のバンドが太くなって全体的に赤みがかり、オスより一回り大きいです。やはりフタオの例に漏れずオスより採り辛いみたいで、中々綺麗な標本は入手できないですね。完全品が欲しいんですが、ニューカレドニアも時代の流れか最近は生物の採集・持ち出しに厳しいですからね。なかなか機会に恵まれませぬ。


Polyura gamma

 標本の産地はコギ山。結構有名な山だそうで、爬虫類なぞも沢山居るようです。リンク先のブログで固有属のババイヤヤモリの現地写真なんかがアップされてましたが、木の上にはミカドヤモリとかクチサケヤモリなんかもゴロゴロしてるのかと思うと、もう堪らんです。そんな訳で、斯くも南太平洋の島々は生物好きを魅了してやまない訳です。




スポンサーサイト
ガダルカナルより
2010年 06月 11日 (金) | 編集

エピゲネスフタオ Polyura epigenes epigenes
名義タイプ亜種

Polyura epigenes

Polyura epigenes
(Guadalcanal I., SOLOMON Islands, Sept. 1999)

彼の激戦地、ソロモン諸島はガダルカナル島からの標本。

 一般に Polyura 属というと、沖縄島にも分布するフタオチョウ P. eudamippus のように斑紋色彩が黄白色を基調とした姿を思い浮かべることが多いと思いますが、ソロモン諸島やニューカレドニア、フィジーなどの南太平洋の島々には、暗色を基調とするちょっと変わった種が分布しています。その中でも、このエピゲネスフタオはソロモン諸島の固有種で、他にはニューカレドニアにガンマフタオ P. gamma が、フィジーにはカフォンティスフタオ P. caphontis がそれぞれ固有に分布しています。
 特にニューカレドニアのガンマは一見 Charaxes 属に間違う人もいるくらい変な Polyura でして、先日この地に出掛けていったリンク先のアダシノ氏が激写してくるのを期待していたのですが、どうやら何が原因か天運に見放されたらしく大嵐だったようです。生体写真見たかったなぁ。


Polyura epigenes

 ともあれ、この3種の系統関係は今のところはっきりしておらず、形態形質を用いた昔ながらのヘンニッヒの分岐分析がSmiles (1982)によって行われているに過ぎません。これによるとガンマが最も祖先的で、次にエピゲネス、そしてカフォンティスとなっており、単系統ではないようですが、最近のより客観的な分析方法でやり直してみたいですね。分子なんかでもどうなるか興味があります。
 
 ところで、一般的に種小名とは別の亜種名が付かない地域個体群を「原名亜種」とか「基亜種」とか言いますが、ハープタイルホビーの世界では「基亜種」が使われる傾向が殆どのようですね。昆虫では国際動物命名規約の和訳(nominotypical subspecies)に沿って「原名亜種」がよく使われており、最近になってより直訳の「名義タイプ亜種」が使われる傾向が強くなってきているように感じます。まあ、どれも間違いではないのですが、基亜種だと一般に分かりやすいですが、どうやらあちこちのネットを巡廻していると「より祖先的な」亜種であると勘違いしている人も多いようで、言葉のあやによる誤解が生じやすいように思います。


Polyura epigenes

 ソロモン諸島に分布するフタオはこれとジュピター P. jupiter の2種だけですが、是非訪れてこの手でやっつけたいものです。あそこやビスマーク諸島はまだまだ人跡未踏の部分が多いので、他にも色々面白い昆虫がいるに違いないのですよ。オオトカゲなんかも面白い地域だし。
この蝶採って、ソロモンキールオオトカゲをこの手で掴むのを夢見る日々でございます。



アジアの佳蝶
2010年 05月 16日 (日) | 編集

クギヌキフタオ Polyura dehanii carabus
西スマトラ亜種

Polyura dehanii carabus

Polyura dehanii carabus
(♂, Padang, W-Sumatra, Indonesia, Jun. 1994)

言わずと知れたアジアの佳蝶。その尾状突起の太さと湾曲具合は他に類を見ない。
メスの尾突はさらに太く湾曲も強く、まさに怪蝶とも言えるが、やはりこの種には佳蝶という言葉が相応しい。


Polyura dehanii carabus

一昔前に比べて入手し易くなったとは言え、そんな事とは関係なしに何時かはこの手で採りたいものです。


3枚目、背景が綺麗に飛ばせてないですね。一寸失敗作ですが直すの面倒なのでそのままで。



ポシドニウス
2010年 04月 26日 (月) | 編集

まったく自分の撮影およびフォトショップ技術の無さが恨めしい。憎らしいほど緑掛かった乳白色が写真に出ない。


Polyura posidonius

Polyura posidonius

ポシドニウスフタオ Polyura posidonius
(中華人民共和国 雲南省 徳欽県 尼西郷 2900m/ alt.2900m, De quen, Yunnan, China, 14-21. May. 2008)

 さてさて、当ブログに登場するヒメフタオ属 Polyura の第一弾と言えば、やっぱりこれしか無いでしょう。
インド‐オーストラリア地域に広く分布するポリウラの中でも最高峰に君臨するポシドニウス様でございます。

 チベット南部から雲南西部、四川南西部の高標高にかけて物凄く局地的に分布している種で、垂直分布で見ても文字通り最高峰に居る種なんですが、まあ普通ここから標本は滅多に来ません。この標本は、恐らく私の知る限り世界で只一人、この地にチョウを採りに行く日本人から譲っていただいたものでして、もちろん中国人のいい加減な採集人が採ったような適当なラベルの標本ではありません。因みにメスは大々珍品で、多分標本は片手で数える程度しかこの世にないと思われます。
 あ、余談ですが採集地の徳欽(De quen)はシュウダの亜種 dequenensis のタイプ産地だったりします。ついでに採ってきてくれないもんかなぁ…

 形態も斑紋、翅形ともに随分変わっているんですが、特に前翅裏面の中室内の条斑が顆粒状に砕けて散布されているという形質状態は他種には見られない著しい特徴ですね。本種が含まれる eudamippus 種群の5種 eudamippus (沖縄にもいるやつ), dolon, nepenthes, narcaea, posidonius の中ではもっとも祖先的とされていますが(Smiles,1982)、ぱっと見斑紋や翅形は随分モディファイされていて、むしろ祖先的な形質はあんまり残っていない気もするのです。まあ隔離されて長そうな雰囲気はありますね。


Polyura posidonius

 いやしかし、徳欽(De quen)には是非行ってみたい。私がやってる Charaxes は標高高すぎていないんですが、ポシドニウスは採りたいですねえ。特にメス。あれ採ったら多分失神すると思う。
 それに以前のクビワチョウの記事で紹介したラーツォやダビディスの変なヤツやチベットスミナガシが居ますし、さらにはポシドニウスに匹敵するミスジチョウの最稀種、イミタンススジグロミスジ Aldania imitans がいるはずなのですよ。アサギマダラに擬態した巨大なミスジですよ。これも採れたら鼻血ものでしょう。

 ところで上の写真、戯れにクレジット入れてみました。今後こういったお遊び的な写真にはクレジットを入れて行くかもしれませんが、さてどうしよう。写真下手だし。


copyright (C) Lepido and Scales all rights reserved.
designed by polepole...

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。